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社会起業家とは?

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テーマ:社会起業家とは

1.社会起業家の定義

社会起業家とは、広義にはソーシャルビジネスを行っている者のことを指し、狭義にはソーシャルビジネス␣(※)を行うための法人(株式会社、NPO、NGOなど)を立ち上げた者のことを言います。
※ソーシャルビジネスについては、当サイト「ソーシャルビジネスとは」を参照。

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2.社会起業家に求められる資質

 通常の起業家であっても、社会起業家であっても両者が起業家であることには変わりはないので、当然ながら起業家に求められる資質というものは一致しています。
それでは、“社会”起業家だけにより求められる資質とは何でしょうか?一言で言えば、「解決すべき社会課題のために、ビジネスという手段を活用しているか?」という質問に疑いようもなく肯定できるかどうかです。少し複雑な言い回しをすると、「持続的に儲けられる範囲において、社会課題を解決するのか」または「解決すべき社会課題のために、持続可能なビジネスという手法を用いるのか」という二択を迫られた時に、後者の立場を取れるかどうかが社会起業家にとっての最も大切な資質になります。
このように、ビジネスの目的が「儲ける」ことではなく、「社会課題の解決のため」と言い切れるかどうかが社会起業家にとって求められる資質なのです。

Why?

もう一つこれと同じくらい重要な資質を挙げるのであれば、それは解決すべき課題が自分事化されているか否かです。つまり、その課題を解決することが起業家当人にとって絶対的に必要なことであると認識しているか否かということです。
なぜ、社会起業家にとってこのような資質が求められているかと言うと、未だ誰も解決することのできなかった社会課題を解決するなど、ほとんど奇跡に近いほど難しいという事実が存在し、かつ、そのような社会課題を解決しながら収益を生み出すなど神技と言ってもいいほどの険しい道のりが待っているからです。通常の起業であっても10年間存続するビジネスなどごく僅かな確率であるにもかかわらず、ましてや社会起業ともなれば確率はより低くなります。これらの困難を乗り越えるためには、「どこかの誰かを救う」というくらいの思いでは不十分で、「自分自身を救い、自分と同じような境遇の人を救う」という強く自分事化されている対象でない限り、社会起業としての人生はあっけなく幕を閉じてしまいます。

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3.どんな人がいるのか?

 国内外を問わず、活躍している社会起業家はいますが、今回は日本の社会起業家の代表的存在として知られ、2007年にはニューズウィーク日本版「世界を変える社会起業家一〇〇人」に選出されたNPO法人フローレンス駒崎弘樹さんの例を取り上げてみます。
駒崎さんは、ベビーシッターをしている母親がおり、その母の仕事を見て知ったのが「病児保育」という社会的課題でした。ある日、駒崎さんの母親のもとに来た女性が「子どもが高熱を出し、1週間ほど会社を休んだことがきっかけで会社をクビになった」という語ったと言います。
基本的に保育園においては、子どもが病気になり熱を出したりすると、他の子どもへの配慮から子どもを預かることが出来ません。このようにちょっとした病気に子供がかかってしまうだけことのように思われるかもしれませんが、、子どもを預けて働く親には一大事となります。ましてや、シングルマザーにとってはさらに深刻です。
このような出来事を通じて、駒崎さんが調べてみると、保育園に子どもを預けている親たちの多くが、この「病児保育」の問題に悩んでいることがわかりました。子を持ち働いている親に対する調査では「仕事と育児の両立で最も悩むこと」として「子どもの病気で遅刻や欠勤をすることがあり周囲に迷惑をかけてしまう」ことを七割以上の人が挙げています。厚生労働省が実施した保育所に関する調査でも「病気のときも預かってほしい」という回答が一番多かったのです。

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4.社会起業家の厳しい現実と明るい未来

しかし、駒崎さんのように苦悩や困難を乗り越えながらも事業を軌道に乗せている社会起業家は実は少数です。多くの社会起業家“だった”者たちは、志を持ちながらも道半ばにして事業をすることを諦めざるを得なかったというのが現実です。このような事実の裏には、そもそも事業化するのが難しい領域で勝負をしていることが大きな理由ですが、実は事業に挑む際の姿勢にも一要因あるように思われます。それは、「思いが先走り、事業性を担保しないまま突き進んでしまう」ことにあります。より具体的には、「誰からお金をもらい、お金をもらった当人にもらった金額以上の価値をどのように提供するのか?」ということを考えずに起業してしまうことを意味します。
 社会課題の解決を最大の使命とする以上、その性質上どうしてもお金を持つ相手への直接的な事業は難しいのです。例えば、貧困国の子供たちに教育を受けさせたいと思い起業したケースを考えてみましょう。この場合、当然ながら貧困国の子ども、またその親から事業を安定化出来るほどのお金をもらうことは難しいです。そうすると、教育サービスを受けている受益者からではなく、他の人や組織からお金をもらうことを考えねばいけませんが、この仕組みを考えるのはとても難しいのです。なぜならば、通常のビジネスであれば受益者がお金を払えばいいものの、このケースにおいては、直接的な受益者でないにも関わらずお金を払う立場の人が存在しなければいけないからです。このように、いかなるビジネスモデルを確立するかに関して吟味をしなければ、志を実現することは出来ません。

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しかし、裏を返せばビジネスモデルを精緻に描いたうえで、他者には真似のできない志と行動力を発揮しさえすれば、社会起業家の実現したい未来を実現できるのです。最近では、ソーシャルビジネスのビジネスモデルなどに関してまとめてある本や無料で経営支援してくる場なども生まれてきましたので、積極的に活用すればいいのです。結びに、イギリスの著名な経済学者であるアルフレッド・マーシャルの言葉を引用し、これからの社会起業家へのエールとしたいと思います。
Cool Head,but Warm Heart.(冷静な頭脳、そして、温かい心を持て)

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